目が覚めて、おもい立って、たいした身支度もせず、町にくりだしてみた。
「四条通り、四条大宮をちょっと行ったら、大きい壬生川通りって、広い通りがあるんですね––」
夜の余韻がのこるなか、町は徐々に目を覚ましていく。自転車がいくつも、さっそうと通り抜けていく。みんな、不機嫌な表情をしていて、心配になる。
缶をいれるゴミ箱がふたり、よりそっているように見えた。どこか、不安げに。
ここ数年、再会することができていなかったひとと、すこしのあいだだったけれど、話しができてうれしかった。そのひとが、かつてこの町のどこかに住んでいた。忙しそうに、日々を送っていたにちがいない。あたりまえになったこの風景を、たちどまって、こういうふうに眺めたりはしなかっただろう。すべて、日々のなかに溶けこんでいることだとおもうからあえて、こんなふうにしないだろう。ただ、ぼくはいちど聴いたからには、じっさいに足を運んで、こうして佇んで、過ごしてみるよ。見つめてみるよ、とこんどあったときには伝えてみたいな、とおもった。
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