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re-port#3 法然院

  • 執筆者の写真: mumgypsy
    mumgypsy
  • 2023年3月10日
  • 読了時間: 1分

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バスに乗って、辿り着いたのはちょうど日が暮れたころだった。


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坂道をゆっくり、登っていく。あたりは、みるみるうちに表情をかえていく。


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「ええとね、生まれたのは法然院。銀閣寺とか、法然院のある北の方––」


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すこしだけ息があがっていく。


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吐く息が、かすかに白む。


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なにか、生きものの鳴き声がした。聴いたことのない、声だった。


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町の、窓という窓が、灯っていく。


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坂を降りていくと、小川がささやかに流れていく音がする。家の断片が、光っている。知るはずもない、だれかの記憶へ潜っていこうとしても、それには限界があることも、もちろん知っている。見えている家々の内側のことを、ぼくは知ることはできない。ただ、工事中の赤色の点滅が、どういうわけか賑やかに見えて、うれしかった。


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